第九夜
今まで喧嘩ばかりしてきたけどあの人と仲良くなりたい。
何を言っているんだ。あいつはすぐに裏切る姑息な奴らだ仲良くなる必要なんてこれっぽちもない。どうせ話したところであいつは悪人さ。
僕は今まで通り自分からは殴り返さないよ、まぁさすがに殴られたら殴り返すけど。
何を言っているんだ。こっちがニコニコしてるからあいつらがつけあがるんだ。それにそんなひ弱な身体じゃあ殴り返しても相手を泣かせられないぞ。
それじゃあ僕は力をつけよう。身体を鍛えてムキムキマッチョになればあいつも僕に喧嘩なんて売れないだろう。大丈夫、僕から手を出すことなんてないよ。だって先に手を出した方が悪いって周りの人から責められちゃうからね。あれ、でもあいつも一生懸命に筋トレをしてるぞ。じゃあもっともっと僕も筋トレをしないとね。
ある日クラスの美人のAちゃんに筋肉があってかっこいいって褒めてもらえた。とっても嬉しかった。でも筋肉がないとAちゃんは見向きもしてくれないからこれはもう筋トレをやめるのはよしたほうがいいな。
最近、友達のBくんがよそよそしいきがする。どうやら僕がマッチョになって少し怖がっているようだ。え?前の僕の方がよかったって?だめだよBくんそれだとあいつになめられっぱなしだしAちゃんも僕のことを見てくれなくなっちゃう。
ん?あいつって誰かって?さぁ……僕も忘れちゃった。あそこの人かもしれないしBくんかもしれないしもしかしたらAちゃんかもしれない。まぁ今はもうどうでもいいんじゃない?だって今の僕、最高にかっこいいし!