数奇草

四畳半に魅せられた理系学生の備忘録

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第三十夜

天気が優れない日が続いている。雨の日は人が外にあまりいないので僕は好きだ。人のたてる音が雨音で相殺されるし、視界も灰色がかる。つまり、他人の存在が希薄になるのだ。 そして、曖昧でぼやけた世界で独りぼっちの僕は淀んだ空を見上げている。その顎先…

第二十九夜

若者よ悩め。 僕には一つ年上のとても優秀な兄がいる。昔から僕は兄の影に隠れてその足跡の上をこっそりついてきただけにすぎない。 思えば人生の分かれ道ではいつもその後ろ姿ばかりを追っていた。 十代のころに誰もが遭遇する人生の岐路は「進路」である。…

第二十八夜

一人暮らしというのはとても辛いものだ。それは自分を見つめる時間が多くなるからである。そしてそれをしたくがないために、遊びや趣味に逃げる人が多いのが事実だ。 自分を見つめるのはとても辛い。僕は何度も鬱になりかけたし、ずっとイライラしてしまう日…

第二十七夜

僕は明日の代数学の中間試験を受けないことを決意した。 僕は数学専攻をしようと考えている人間ではない。それなのになぜ代数学の講義を受けているのかというと、単なる「興味」である。面白そうと思ったから受けてみただけの話なのである。 それじゃあ単位…

第二十六夜

僕は文字を書くのが好きだ。大学の講義でのノートもいかに美しく仕上げられるかという縛りを自分に課しているくらいだ。 文字を見るだけでその日の気分がよくわかる。頭が回らなくてむしゃくしゃしてる日は止めや跳ねが乱雑になっているし、やる気に満ちてい…

第二十五夜

簡単に要約できるような日々はとても不毛だ。大学に通うか家にいるかバイトをしているほぼ僕の日々はこの三要素で構築されている。幼少の頃から家の近くには年の近い子供がおらず、高校の頃も学校のある市内まで直線距離で30kmほど離れたところに住んでいた…

第二十四夜

目がチカチカして画面を見るのが辛いです。

第二十三夜

最近めっきり寒くなってきた。東北から関西にでてきた僕でもこ寒いものは寒い。確かに冬になっても全く雪が積もらないし路面が凍ることもない関西は天国のようなものだが服の隙間を通り抜ける北風は僕の身体から体温を根こそぎかっさらっていく。 あまりの寒…

第二十二夜

とある哲学の本に書いてあった。この世は我々の脳が我々に見せる幻覚に過ぎないのではないかと。 暖かいという感覚がしたから脳はそのイメージを作り出し我々に認識させる。ふわふわの綿菓子を見たらそのイメージを我々に認識させる。この世は夢と同じだ。…

第二十一夜

今日は自分の勉強不足を痛感した日だった。 自分の学問を追究すれば、政治などの世間への関心が薄れる。学問の追究ばかりでは疲れるので、外にでてぶらぶらしたくなる。要するに時間が足りない。 さらに言えば僕のやる気にもムラがある。今日みたいになんと…

第二十夜

すぐ怒ったりする人は心に余裕がない人らしい。実際僕も一人暮らしを始めてからイライラしやすくなったと思うところがある。知らず識らずのうちに家族に囲まれていることは僕のことを癒してくれていたのかもしれない。 かなり前なのだが新聞の社説のページ…