数奇草

四畳半に魅せられた理系学生の備忘録

第二十二夜


 とある哲学の本に書いてあった。この世は我々の脳が我々に見せる幻覚に過ぎないのではないかと。


 暖かいという感覚がしたから脳はそのイメージを作り出し我々に認識させる。ふわふわの綿菓子を見たらそのイメージを我々に認識させる。この世は夢と同じだ。僕たちの頭がでっち上げだ紛い物……


 というところまでは覚えているのだが、この説は間違っていると述べられその理由が書かれているところを忘れてしまった。つまり僕の中ではまだこの世は夢のままなのである。

 嗚呼、夢なら夢でもっと幸せなことが起きないものかしら。