数奇草

四畳半に魅せられた理系学生の備忘録

レールに沿って生きる

 

 小学校からの友人に久々に誕生日を祝うメールを送った。彼は今年から新社会人になり、僕みたいな学生からしてみたら未知の世界に足を踏み込んだように思える。

 それでも彼はあまり変わっている様子もなく、毎日を過ごしているそうだ。

 

 社会に出るとはどういうことなんだろう。僕はもし院の博士課程まで言ったとしたら七年は学生でいることになる。大学という温室で甘やかされてそんなに長い期間育ってしまったら温室なしで生きられないのではないだろうか。

 しかし、今のところ僕にはそれ以外の自分の進路がわからない。漠然としすぎているのだ。別になんとしても院の博士まで行きたいというわけではない。修士まででもいいし学士まででもいい。ただ急いだからといって何かチャンスをもぎ取れるわけでもないだろう。だから僕は最長の自分の予定として後七年と言っているのだ。

 

 勉強をするのは苦しいけどたまに楽しいこともある。苦:楽=8:2くらいだがそれでも僕はなんとかへこたれずに頑張っている。

 気づかないうちに勉強が好きになっているのかもしれない。

 

 何があるからかわからない。

 幼いころはそれが喜びだったが今となってはそれが恐れの対象になりつつある。それは暗闇の中で真っ黒の怪物に追いかけられるくらい恐ろしい。

 何か光が欲しい。でもその光を手に入れることで怪物の正体を見てしまう。相手のことを知るのは悪くないどころか良いことなのに、僕はそれを見るだけということ自体が怖くてたまらない。その真っ黒な怪物が僕の顔をしていて、「結局だめなんだ」と言うかもしれない。