数奇草

四畳半に魅せられた理系学生の備忘録

第五夜

 

 昨日は決壊したダムのように鼻水を排出していた鼻が今日は調子がよかった。生まれて初めて花粉症にでもなったのかと思ったがどうやら思い過ごしだったようだ。

 

 じつは今日は僕の誕生日であった。例年は身内からの祝いしかないのだが今日はアルバイト先の方々にも祝ってもらえて少し、いやかなり嬉しかった。(僕は基本的に恥ずかしがり屋なので嬉しいといった感情を言葉にするのが気恥ずかしのだ)

 少し調子に乗ってアルバイト先の女の子にアプローチでもしてみようかなどというよくわからない感情が一瞬だけ芽生えたが、働いているうちに徐々にしぼんでいった。もう一度言うが僕は恥ずかしがり屋なのだ。

 口先だけの会話はぽんぽんでてくるが内心は全然違うことを思っていてそちらのほうを伝えるすべは持ち合わせていない臆病者なのだ。もう誰か僕の根性をたたき直して欲しいと思ったが痛いのはいやなのでやっぱり言わないことにした。