数奇草

四畳半に魅せられた理系学生の備忘録

第四夜

 今日は一ついいことに気がつけた日だった。

 僕はしばしば作り話をして人を笑わせようとしてしまう。このとき僕は内心嘘をついているという自覚から罪悪感で胸が一杯になっていた。なぜなら幼い頃から嘘をつくことはしてはならないことという規律が脳内にすり込まれていたからだ。

 

 しかし、僕は今日初めて気がついた。今思えばどうしてこれまでこんな簡単なことに気がつけなかったのだろうかとさえ思ってしまう。たぶん現在の僕が過去の僕に会ったとしたら某タイムトラベル映画(頭のねじのぶっ飛んだ博士と主人公が車でタイムトラベルするやつ)の有名シーンをしてしまうこと間違いなしだ。

 

 僕は別に悪いことをしているのではないのだ。逆に相手を笑わせているのだからいいことをしているのだ。人はこれを合理化と呼んで嘲笑するかもしれないが、僕の中ではこれはそういうことなんだということで腑に落ちてしまったのでそれでいい。

 

 ちなみに今日のハイライトは大阪出身の友人に渾身の比喩が馬鹿ウケしたことである。