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数奇草

四畳半に魅せられた理系学生の備忘録

第二夜

 

 先月買ったばかりのヘッドホンが断線した。元々は二階の住人のBobの騒音を緩和するために買ったのだがこうも早々と壊れられてしまっては壮絶な虚無感しか感じない。

 こんな時に僕は今日の不幸せは明日の幸せというよくわからない標語を唱えることで自分の中の何かを保つのが常である。不幸続きはすぐ先の幸せの前兆なのだと思う。

 

 話は変わるが、僕は花が好きだ。花屋の前を通るたびに店頭に飾られた花々を見て目の癒やしにしている。最近では金木犀の香りが一段と強まってきて、夕暮れ時にその香りが風に乗ってやってくると思わず過ぎ去りし青春の日々を思い出してしまう。授業が終わるやいなや自宅に帰り愛犬と戯れたことは今でも鮮明に思い出せるのに対して、他人と関わり合ったという記憶はあまりない。

 秋は感傷的な気分になるから嫌だと誰かが言っていたのだが、僕はだからこそ秋が四季の中では一番だと思う。感傷的な気分になると言うことは秋という時期は人が一番自分の心に近くなる季節だからだ。それを恐れるからこそ嫌だという意見が出てくるのだろう。

 自分の心ほど自分が美しく感じる物はこの世に存在しないと僕は考える。一番身近にあるにも関わらず見れば見るほど知らなかったことがでてくる神秘性、その神秘性は自分のことであるからこそ自分が一番共感できるはずだ。だからこそ美しさも誰よりも一番自分が感じることができるのではないのだろうか。